北北西に曇と往けは何故面白いのか。
面白さの理由① あの名作と似通った設定
主人公は御山 慧（みやま けい）17歳。
アイスランドで探偵業をしています。
作中で、彼とその周辺の登場人物には独特な特殊能力が有ることが明かされていきます。
主人公の特殊能力は「機械とコミュニケーションが取れる」というもの。
物語の最序盤ではターゲットを追いながらも事故に遭い、ずっと独り言を話しているように見えますが、実際は車と会話していたわけです。
また、主人公は車や携帯電話に触れることでその「記憶」を探ることもできます。
お気づきでしょうか？
この点は「サイコメトラーEIJI」と似た設定です。
しかし、サイコメトラーEIJIとの大きな違いは御山 慧の場合、携帯電話の電源が入っていないなど「機械が機能していない場合」コミュニケーションをとることができません。
そのため、一度充電して電源を入れるなどの操作が必要になります。
サイコメトラーEIJIでは物語の核心に触れる重要な部分だけが何故か読み取れなかったり、犯人の顔だけはわからなかったりとご都合主義的な部分が散見されましたが、この作品はそうではありません。
車や携帯電話が現場をしっかりと見ていれば、状況を把握することが容易で、御山 慧はあっさりと依頼を解決することができます。
逆に言えば、理由なく情報を読み取れずに作者都合で特殊能力が活かされなかった場合、この作品の魅力は半減するでしょう。
面白さの理由②主人公のまわりの人物とその能力の謎
この作品には作中で明言されている能力者とおそらく特殊能力がある者の２種類が存在します。
能力が明言されている登場人物
「ジャック」「カトラ」
明言されていない登場人物
「リリヤ」「御山 三知嵩（みやま みちたか）」
まず、能力について明言されているのが御山 慧の祖父「ジャック」です。
ジャックは「鳥とコミュニケーションがとれる」能力者であると本人が発言していますが、御山 慧が車以外との機械とコミュニケーションがとれるように「鳥以外」の動物ともコミュニケーションがとれる可能性があります。
ジャックの恋人であるカトラにも「強運」という能力があります。
カトラの場合、作中でその能力が活かされる場面がまだ少ないですが、いずれキーパーソンとなる予感もします。
次に能力の片鱗を見せたのがヒロインの「リリヤ」です。
リリヤは作中で明言されていませんが、「嘘」に非常に敏感で御山 慧の弟、「御山 三知嵩（みやま みちたか）」が嘘をついていることを見破りました。
また、友人である清(きよし)が嘘をついていないこと、御山 慧がついた嘘を見破ることもできています。
本人にも自覚があるため、リリヤが「嘘を見破れる能力者」であることはほぼ確定でしょう。
そして、最大の謎が御山 慧の弟である御山 三知嵩（みやま みちたか）の能力です。
御山 慧と三知嵩の祖父ジャックは、御山家の人間に特殊な力があると作中で語っています。そのため、三知嵩にも能力があることはほぼ確定でしょう。
５巻までの時点でわかっていることは、
①三知嵩の気に入らない人間は次々と変死する。
②三知嵩が殺した証拠は一切ない。
ということです。
三知嵩に対して、
警察サイドは三知嵩による殺人ではないか疑っています。
また、被害者の近親者も同様に疑っており、なかには殺されることを恐れて逃げ回る者も居ます。
しかし、兄である慧は三知嵩に対して、「お前が人を殺したと言っている人間がいる」とは言うものの、三知嵩の発言を信じるスタンスです。
三知嵩の能力が明らかになる時、この作品は最大の山場を迎えます。
面白さの理由③三知嵩は連続殺人犯なのか？という謎が面白い！
上記で書いたように三知嵩はおそらく何らかの能力者です。
作品を読み進める限り「気に入らない人間をバラバラにするような描写」が存在し、その人間は「何の証拠もなく変死」します。
本人は否定しますが、リリヤの能力によって「何らかの嘘をついている」ことはほぼ確定しています。
①三知嵩はどんな嘘をついているのか。
②三知嵩は連続殺人の犯人なのか。
③三知嵩の本当の能力はなんなのか。
この３点に注目して今後の作品の展開を楽しみにしたいと思います。
